iDeCoはあくまで投資。節税になるからと全力でやらない!
iDeCo(イデコ)は資産運用の手段としては良い制度だと思うので
加入するか相談されたら基本的に進めます。
ただし投資の一種に過ぎないので優遇措置があるからと
全力で資金を投入するのはお勧めしません。
そういう私は1月に資料を取り寄せましたが
散々悩んで結局今もやっていません。(書類すら書いていません)
メリットとデメリットをおさらい
イデコのメリット、デメリットは色々なところで出尽くされていますが
簡単にはまとめます。
メリット
◆掛け金全額が所得控除
投資すると、同額が所得控除の対象になるおいしい仕組みです。
給与年収700万の人なら社会保険料を考慮しても
掛け金の約30%(所得税+住民税)が減額されます。
◆運用益は非課税
普通、運用益はその年ごとに課税され税金を払わなければいけません。
しかしイデコは運用益に課税されないので
運用益をそのまま運用資産に上乗せできますので
長期運用が前提のイデコと非常に相性の良い仕組みです。
◆年金や退職金として税務上有利に受け取れる。
60歳になって受け取るときは
年金(雑所得)や退職金(退職所得)として受け取ります。
いずれも税務上有利な受け取り方です。
例えば退職金として受け取った場合
30年加入していれば
受け取る金額が1,500万円までは所得税がかかりません。
デメリット
◆60歳になるまで引き出せない
資産の流動性を著しく失います。
そもそも年金なのですから仕方ないです。
◆手数料がかかる
口座管理手数料や加入時の手数料がかかります。
また、選択した商品によってもそれぞれ手数料がかかります。
楽天証券やSBI証券など手数料が割安だったり
残高によって一部の手数料がかからない証券会社もあります。
私も楽天証券で検討していました。
◆元本割れのリスクがある。
資産運用ですから当然元本保証されていません。
(定期預金を選択すれば大丈夫ですが)
大きく運用に失敗して60歳になってもあまり受け取れない可能性もあります。
家を買う予定なら加入は慎重に
掛け金が全額所得控除の対象になるので税務上お得です。
ただ、将来設計や現在の状況を踏まえて
利用しないと宝の持ち腐れになります。
イデコのような所得控除や税額控除の制度は他にもあります。
有名なのは住宅ローン控除です。
10年間、住宅ローン残高の1%相当を所得税と住民税から控除してくれる仕組みです。
所得控除と違って、税額控除は税額そのものを控除してくれます。
メリットを享受できるかの確認を
たとえば4,000万円の住宅ローンを組んだ場合
当初の10年だとなかなかローン残高が減らないので
毎年40万~30万円程度の控除が受けられるでしょう。
独身で年収500万円くらいなら年間の税金(所得税+住民税)
は40万円に達しないと思うので
住宅ローン控除の枠を使い切れない人ってそんなに珍しくありません。
ですので4,000万円の住宅ローンがある状態でイデコに加入しても
所得控除の効果が全くない可能性があります。
やってもやらなくても住宅ローン控除で税金が全額控除されるからです。
所得控除というメリットが受けられないのにも関わらず
デメリットをすべて受け入れなければいけません。
この点は加入前に考えておいた方がいいでしょう。
ただ、住宅ローン控除は最大10年なのでそれ以降のことを考えると
(将来どんな結果になるかは分かりませんが)
イデコをやる価値は十分あると思います。
ちなみに、私がイデコを見送った理由がこれで
家を買おうか真剣に検討を始めたので保留にしました。
買うならすぐにキャッシュも必要なので私にはデメリットの影響が大きいので。
近い将来家を買う予定の人はもちろんですが
今現在イデコによる恩恵が受けられるかは確認したほうが良いでしょう。
扶養控除額が多かったり、別の制度(小規模企業共済など)
の恩恵を受けている人はデメリットしかない可能性もあります。
節税だけを目的にするとあまり効果はない
掛け金が全額所得控除の対象になるので税務上お得な制度ですが
そればかりを目的にするのはお勧めしません。
さきほどのとおり
給与年収700万の人なら掛け金の約30%(所得税+住民税)
が所得控除の対象です。
毎月15,000円掛けるとして年間で18万円。
これの30%なので54,000円の節税になります。
18万円は60歳まで使えなくなりますが
資産の流動性を犠牲にしても30%の見返りならかなりいいですね。
でも、翌年以降はどうでしょう。
10年後には掛け金が180万円ですが
10年後に受けられる所得控除は54,000円のままです。
視点を変えると54,000円の減税を受けるために180万円が使えないのですから
毎月の掛け金は、毎年の所得控除を受けるための「いけにえ」です。
累計の掛け金に対する控除率は
54,000円/180万円=3%に下がってしまいます。
節税だけを考えると流動性を犠牲にした見返りとして得られる効果は下がっていきます。
あくまで年金としての投資が目的で、所得控除はおまけくらいに考えた方がいいです。
まとめ
イデコは将来の年金です。
税務上優遇されていますが
投資なのでリスクがあることを理解してやりましょう。
税務上有利だからという理由だけやると将来けがをするかもしれません。
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