人を雇用するときにコスト以外で気にしておくこと
人を雇おうかと思うタイミングがあると思います。
雇用を創出することは素晴らしいことですし、雇えるほど業績が良いのは喜ばしいことです。
とはいえ、採用するで会社に負担がかかることもあります。
負担というと、どれくらいのコストがかかるかは数字として見えるので分かりやすいですが、コスト以外にも数字で見えないがゆえに忘れがちな負担もあります。
採用にかかる負担はお金だけではない
人を1人採用するだけでも会社の負担は少なくありません。
ハローワークなら無料で求人を出せますが、民間の求人媒体を使えば当然お金がかかります。
それもなかなかいいお値段するのですが、ここでの負担はお金以外の面で。
私は前職の事業会社で働いていたとき、採用に関わることもありました。
採用の窓口担当として採用活動の一連の流れに携わっていました。
求職者の面接の調整から一次面接の担当、合否の連絡、入社後の手続きまでやっていました。
この採用活動、負担の軽いものではありませんでした。
採用といえば、会社と採用者双方の今後に少なくない影響があります。
人1人の人生にもかかわるので遊び半分ではできません。
とはいえ、採用活動は1年中ある業務ではないので中小企業だと誰かが他の仕事と兼務することが多いでしょう。
私も経理財務や総務の仕事と兼務でした。
採用活動中は、最終的に1名~数名を採用する場合でも、その裏で何倍という人とやり取りがあります。
まず百数名の方からお問い合わせをいただき、そこから数十名の方とやり取りをしたりお会いする、という感じになります。
面接に要する時間は30分から1時間ほどとして、10名とお会いすれば5時間から10時間はかかります。
その分、他の業務が減ることはないので結構負担がありました。
それでは私はまだ窓口、一担当者でしかありませんでした。
決裁権者に近いほどその負担は増えるでしょう。
特に中小企業だと、代表者や役職者が最終面接を行うこともあると思います。
そういったメンバーはプレイングマネージャーでかなり忙しいことも多いので、面接で10時間拘束されるのは、本人にとっても会社にとっても痛いかと。
人員や給与のコントロールが難しい
人を雇うと会社の都合で人員や給与をコントロールするのは難しいです。
人を雇いたいときは業績が良い、規模の拡大に伴い人が足りないなど事業が順調かと思います。
忙しくて猫を手も借りたい状況でなので、すぐに人が欲しいでしょうし、給与を払っても経営に影響がないかもしれません。
しかし、事業をしていると良いときばかりとは限りません。
お客さんが減って従業員にやってももらう仕事がない、経営が苦しいので給与を減らしたい。
ときにはそんな状況に陥るかもしれません。
会社の状況が悪くても人を雇うと会社の都合で辞めてもらったり給与を減らすのは難しいです。
日本では、雇い主の会社よりも雇われの身である従業員の方が法令などで保護されています。
猫の手が借りたくなっても、すぐに正社員を採用するのではなく
・現状の人員で出来ないか検討する(効率化や無駄な仕事がないか見直す)
・派遣やクラウドソーシングなどアウトソーシングする
・パートやアルバイトのように週数日、数時間だけ手伝ってもらう
といった手もありますので、このあたりから検討するのも手かと。
もちろん、仕事を見直しするといっても、それはそれで手間がかかります。
また、アウトソーシングするにしても任せる仕事の範囲を考える手間がありますし、コストも人を雇うより割高になりがちです。
なので考え方によっては、誰かを採用するのが一番楽だったりします。
とはいえ、どんな状況でも本当に雇用を維持できるのかを慎重に考えてからの採用でも遅くはないかと。
ルールを決めないといけない
自分の会社で自分しかいないときは自由な働き方ができます。
何時から働き始めても、何時まで働いても、いつ働いて、いつ遊ぶか、自分で好きに決められます。
もちろんお客さまに迷惑をかけてはだめですが、迷惑をかけた結果がすべて自分に返ってくる覚悟でやっているなら、その点も含めて自由です。
これが独立する醍醐味? であったりしますし。
しかし、自分の会社でも人を雇ったら色々とルールを決めないといけません。
勤務時間や給与額は雇用契約書で明確にしているでしょうが、細かいルールは取り決めていないでしょう。
遅刻や早退したときの給与や、交通事情などで出社できなかったときなど決めておかないと後々もめることがになります。
就業規則や賃金規定であらかじめ整備しておくのが無難ですが、ネットで探して見つけてきたものをそのまま運用する、とかは逆にトラブルの元かと。
かといって、就業規則なんて作ったことがない人がほとんどでしょうから、わからなければ専門家に作成を頼むことになるでしょう。
頼んでしまえば自分の負担は減りますが、専門家へそれなりの支払いが必要ですから今度はそのコストがかかります。
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